体が左右対称であるほど健康で生命力が強い!
今回、私が腰痛の改善と再発予防にお勧めするのは、「肩の後ろ回し」です。
これは、「健康のいちばんの秘訣は、体をシンメトリー(左右対称)にすること」という考えから、私が導き出したセルフケア法です。
生物は、本来シンメトリー構造をしています。
シンメトリーに近ければ近いほど、均整が取れ、美しく見えます。
シンメトリーな競走馬ほど走る能力が高く、昆虫のメスはシンメトリーなオスに惹かれるそうです。
左右対称であるほど、生物としての能力が高く、生命力が強いということです。
前かがみの姿勢やスマホの操作で重心がずれている!
ところが、人間は二足歩行になったことで重心が不安定になり、本来のシンメトリー構造が崩れやすくなってしまいました。
それによって、体にさまざまな不調が起こるようになったのです。
腰痛もしかりです。
私は、「どうすれば健康で快活な生活ができるようになるのか」を追究し、学びを深めるなかで、「本来のシンメトリー構造に戻すことが健康の基本」という考えに至りました。
では、体をシンメトリーに戻すには、どうすればよいのでしょうか。
それには、ずれてしまった重心を、体の中心に戻す必要があります。
人間は二足歩行で前に向かって歩くため、どうしても上半身が前傾しがちです。
特に、前かがみで仕事をしたり、スマートフォンを操作したりすることが多い現代人は、肩甲骨が外側に開き、肩が前に出てネコ背になっています。
この状態を「巻き肩」とか「肩が巻いている」といいます。
重心を戻すには、この前傾姿勢を正さなければなりません。
ところが、人間の重心は骨盤の中にあるので、そこに直接働きかけるのは困難です。
それよりも、手や足など、芯から離れたところを動かすほうが、重心は整いやすくなります。
そこで導き出したのが、肩の後ろ回しです。
体を左右対称に戻す「肩の後ろ回し」のやり方

ポイントは、手のひらを前に向けること。
これは、巻いた肩を後方に持っていくのに役立ちます。
そして、重心から離れた肩を動かすことで、緩やかな動きでも簡単に重心を整えることができるのです。
肩の後ろ回しを行うと、重心が体の中心に戻り、体がシンメトリーな状態に整います。
骨格だけでバランスを取ることができるので、筋肉や腱(筋肉と骨をつなぐ組織)、椎間板(背骨を構成する椎骨の間にある組織)に余計な負担がかかりません。
腰を痛める原因を取り除くことができるのです。
体がシンメトリーになると呼吸が深くなり腰痛が改善する
そしてもう一つ、肩の後ろ回しで得られる大きな効果は、呼吸が深くなることです。
体がシンメトリーになることで、左右にある肺の機能が向上し、呼吸は深くなります。
さらに、前に巻いた肩が後方に開き、横隔膜(肺や心臓を収める胸腔と、腹部の内臓を収める腹腔を隔てる筋肉)が伸縮しやすくなります。
その結果、腹式呼吸のような深い呼吸ができるのです。
私は、快食・快眠・快便・頭寒足熱に加えて、深い呼吸が健康であることの重要なポイントだと考えています。
呼吸は、生命維持の中枢である脳幹によってコントロールされています。
その呼吸が深くなったということは、脳幹がうまく働いているということ。
つまり、生命力が活性化していることを意味します。
つまり、体がシンメトリーになって呼吸が深くなれば、脳幹からの指令がしっかり伝わり、体は健康な状態へ調整されるのです。
その結果、腰痛もよくなっていくと考えられます。
片頭痛や不眠もよくなる
さらに、腰痛だけに限らず、肩こり、片頭痛、不眠など、さまざまな不調がよくなっていくはずです。
肩の後ろ回しは、いつ行ってもかまいませんが、腰がだるいときや、前かがみの作業をしたあとは、ぜひ行ってください。
立って行うのがつらい人は、イスや床に座った状態でもOKです。
呼吸を深くすることが重要なので、力まない程度の緩やかな動きで、リラックスして行いましょう。
できるだけ毎日続けて、シンメトリーな状態を維持してください。
解説者のプロフィール
笹岡整骨院院長
笹岡丈裕(ささおか・たけひろ)
●笹岡整骨院
神戸市長田区腕塚町3-1-19-101
TEL 078-631-9000
https://www.sasaoka-kobe.com/