足が動かずまるでロボットになったよう
7年前の秋のことです。私は突然、座骨神経痛になりました。
当時、私はレース編みに凝っていました。座って大きなテーブルセンターを編んでいたら、急に立ち上がれなくなったのです。
座りっぱなしの姿勢がよくなかったのでしょう。寒くなって冷えも加わり、症状がいきなり出た感じでした。
それからは、常に足の裏がビリビリしびれ、一歩足を踏み出すのも大変です。足がうまく動かないので、ロボットみたいにしか歩けません。
最も大変だったのは、横断歩道を渡るときです。二車線の道路でたいした距離ではありません。なのに、青信号の時間をめいっぱい使わないと、渡りきれないのです。
しかも、冬になると路面が凍結します。この体で転んだら絶対に骨折すると思いました。ですから、毎回、渡るときは決死の覚悟でした。
病院にも行きましたが、湿布を処方されただけです。これは自分で何とかするしかない、と思いました。
そこで、カイロで温めたり、座骨周辺の筋肉をマッサージしたりしました。それで少しは症状が軽くなるものの、いつまでこの不自由さが続くのかと、暗澹たる思いだったのです。
そんな私に信じられない出来事が起きたのは、5年前です。
とあるテレビ番組で「耳の下をこすると全身がゆるむ」と、歯科医の先生が話しているのを見かけました。
その先生によると、耳の下をこすると口が大きく開くようになるそうです。
歯の治療中に行っていたところ、患者さんの肩や首のこりが次々と治ったと言うのです。
中指で耳のつけ根のすぐ下を数回さするだけ
その後に、やり方が紹介されたので、私もまねて実践してみました。とても簡単でした。
中指で耳のつけ根のすぐ下あたりを4~5回さするだけ。軽い力でクルクル小さな円を描くようにするといいそうです。
その時点では何も感じませんでしたが、夜、布団に入ったときに思い出し、再びやってみました。
すると、あくびが出てきて、スーッと眠りに落ちたのです。そのまま、一晩中ぐっすりと眠ることができました。
これには驚きでした。というのも、私は50歳頃から眠りが浅くなり、夜中に何度も目が覚めるのがあたりまえだったからです。熟睡できたのは、本当に久しぶりのことでした。
軽い力で数回こするだけ
ガチガチに硬かった尻が柔らかくなっている!
さらに驚いたのが、翌朝、ガチガチに硬かったお尻が柔らかくなっていたことです。足の裏のしびれもありません。
こうして、あれほど悩まされた座骨神経痛が一晩でウソみたいに治っていました。
足を踏み出すたび、喜びが込み上げてきました。
不思議なことに、お尻だけでなく、パンパンに張っていた首と肩もほぐれていました。 人の体って本当につながっているんだと、またびっくりです。
以来、私は耳こすりを気がついたときに行っています。おもしろいと思うのは、日中にやると頭がスッキリし、夜にやるとあくびが出て眠気が出てくる点です。
おかげで昼はてきぱき行動し夜はぐっすり眠る、というメリハリのある生活が送れるようになりました。
以前の私は、日中によく眠気に襲われていました。テレビを見ているときや食後に、いつのまにか寝ているのです。
座ったまま頭を傾けてウトウトするので、首や肩が張り、それが引き金となるのか、頭痛も起こっていたのです。それがなくなり、体がすごくらくになりました。
冷えたり筋肉の張りを感じたりしたときは、耳こすりを念入りに行います。といっても、回数を10回に増やす程度です。それでも1分とかからないし、効果は抜群です。
歩くのもやっとだった私が、今では趣味で卓球を楽しめるようになりました。耳こすりに救われたと、感謝しています。
よく眠れて腎機能が高まった(呑気堂Fujii鍼灸治療院Tomo整骨院総院長 藤井清史)
耳こすりで座骨神経痛までよくなったとは驚きです。確かに耳のつけ根の下辺りには、座骨神経領域にかかわる「陽明胃経」という経絡(気の通り道)が通っています。この経絡が刺激されて、座骨神経痛が改善したのかもしれません。
また、東洋医学では、座骨神経痛は腎臓、または大腸に由来すると考えられています。耳こすりをするとよく眠れるというのは、精神安定効果です。よく眠れると疲れが取れて、腎機能が高まります。その結果、腎臓由来の座骨神経痛がよくなる可能性も考えられます。
上妻さんの耳こすりのやり方。
耳の下に中指を当て軽く数回さするだけ