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「虫歯じゃないのに歯が痛い」 噛みしめが原因の歯痛に「耳たぶ回し」が効果!

「虫歯じゃないのに歯が痛い」 噛みしめが原因の歯痛に「耳たぶ回し」が効果!

私の治療経験上「歯が痛い」と訴えて歯科医院に来る患者さんのうち、約半数はムシ歯が原因ではありません。歯痛は歯周病や知覚過敏も多いですが「噛みしめ(TCH)」も無視できません。嚙みしめ癖があるかどうかは、口の中を見るとすぐにわかります。【解説】山嵜智浩(かしの木歯科医院院長)

解説者のプロフィール

山嵜智浩(やまざき・ともひろ)
●かしの木歯科医院
東京都東大和市上北台3-411-4東大和サニーコーポ102
TEL 042-562-0646
http://www.kashinoki-dc.com/
かしの木歯科医院院長。
2002年日本大学歯学部卒業後、2010年かしの木歯科医院開業。
診察で患者の耳たぶを回して、あごや耳の近くの筋肉の状態を調べている。

歯の痛みの原因は虫歯ではなく「嚙みしめ」かもしれない

私の治療経験上、「歯が痛い」と訴えて歯科医院に来る患者さんのうち、約半数はムシ歯が原因ではありません。

驚かれるかもしれませんが、目立ったムシ歯がないにもかかわらず、歯痛を訴える患者さんは多くいらっしゃいます。

では、何が痛みを引き起こしているのでしょうか。
歯周病や知覚過敏も多いですが、無意識に行っている「嚙みしめ」も無視できません。

嚙みしめというと、グッと歯を食いしばるイメージをされるかもしれません。
しかし実は、上下の歯が少しでも触れている時点で、嚙みしめの問題が起こっています。

そもそも上下の歯は、正常な状態であれば、くちびるを閉じているときでも2~3mmの隙間があります。

正常な状態であれば、上下の歯が接触するのは、物を嚙むときや言葉を発するときだけで、1日の合計で十数分程度といわれています。

ところが、骨格のずれや強いストレスを抱え続けるなどの理由で、上下の歯が持続的に接触している人がいます。
この状態を歯科学では「TCH」と呼び、嚙みしめと判断します。

上下の歯が触れているだけでも「噛みしめ」のストレスがある

注意しなければならないのは、強い力で嚙みしめている人はもちろんのこと、上下の歯が触れているだけでも嚙みしめに当たるということです。

歯と歯が触れているということは、本人が思っている以上に多大なストレスが歯やあご、側頭部や首、背中の筋肉にかかります。

この状態が慢性的に続くと、歯やあごに痛みや違和感をもたらします。
嚙みしめが原因の歯の痛みは朝の寝起きに多く、口が開きにくくなるという症状が出ることもあります。

それだけでなく、片頭痛や肩こりにも関係があるのではないかといわれています。

嚙みしめていると口の中に白い線が出る

この嚙みしめ癖があるかどうかは、口の中を見るとすぐにわかります。
嚙みしめる人は、ほおの内側の粘膜に、歯に沿った横向きの白い線(圧痕)があります。

強く嚙みしめている人は、線がはっきりしているので、自分の舌先で触ってもわかります。

あごや側頭部の筋肉をほぐす「耳たぶ回し」がお勧め

「嚙みしめぐせ」自体は無意識にしていることでもあり、矯正するのは難しいのですが、それによるトラブルを緩和する方法があります。ここでご紹介する「耳たぶ回し」です。

これは耳たぶをひっぱって回すことで、過度に緊張しているあご周辺や側頭部の筋肉をほぐす方法です。

患者さんに指導したところ、慢性的な歯やあごの痛み、さらには片頭痛や肩こりなども解消されたと喜ばれています。

「耳たぶ回し」のやり方とポイントについては↓の記事で詳しくご紹介します。

耳たぶ回しでムシ歯も防げる

私が耳たぶ回しを指導した患者さんの中には、家族から「歯ぎしりがなくなった」と言われたかたもいらっしゃいます。

おもしろい例では、「目が大きくなった」と言っていたかたもいました。
おそらく、頭部の筋肉の緊張が解消されたことで、まぶたが開きやすくなったのではないでしょうか。

また、耳たぶ回しはムシ歯の予防にも有効です。
嚙みしめぐせのある人は、歯に余計な負担がかかるので、歯の表面に傷ができたり、歯と歯ぐきの境目が削れたりします。
そこは細菌が侵入しやいため、ムシ歯にもなりやすいのです。

ですから、特に歯の痛みや歯ぎしりなどのトラブルがない人も、口腔ケアの一環として耳たぶ回しを行ってください。

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

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