解説者のプロフィール

白井雄彦(しらい・たけひこ:左)西住之江整体院代表・鍼灸師。
白井天道(しらい・てんどう:右)同院長・鍼灸師。
●西住之江整体院
大阪市住之江区西住之江2-11-6
0120-790-671
https://www.tuikanban-herunia.net/
改善率は半年で80%!手術を回避できた人多数
私たちの治療院には、毎日、脊柱管狭窄症の患者さんが多数来られます。その数は毎日約40名。大阪にある当院まで関東・北海道・九州といった遠方から通って来る人もおられます。それは、いつしか当院が、腰から足にかけての痛み・しびれを専門に扱うようになり、それが口コミで広がったからです。
脊柱管狭窄症は、背骨の神経の通り道である脊柱管が、なんらかの原因で狭くなり、神経が圧迫されて足腰に痛みやしびれを起こす病気です。
その原因の多くは、長年の座り姿勢の悪さにあると考えられます。例えば、床に横座りする、イスの背もたれに寄りかかる、前かがみで背中を丸めて座るなどです。
そうした座り方は、一見楽そうですが、体には大きな負担になっているのです。
まず、骨盤の中央にある仙骨が、ズレて後ろに飛び出してきます。すると、しだいにその上にある腰椎(背骨の腰の部分)もズレてきます。さらに、背骨のS字カーブがくずれ、上半身の重みが分散されず、腰に負担が集中します。脊柱管の中を通る神経が圧迫されるようになり、痛みやしびれが現れてくるのです。
また、座り姿勢が悪いと、股関節が緩くなって不安定になります。実際、脊柱管狭窄症の患者さんは、股関節痛を併発している人が多くおられます。
骨盤を矯正しても、股関節が緩いままだと、またすぐ元に戻ってしまいます。つまり、脊柱管狭窄症を改善するには、股関節を安定させて、仙骨を正しい位置に戻す必要があるのです。
その両方を同時にかなえるのが、私たちが考案した「股関節締め」です。
股関節締めは、根本原因である仙骨のズレと股関節の緩みを調整し、背骨を定位置に戻す体操です。
継続して行うことで、痛みやしびれをぶり返さない体づくりが可能です。
「股関節締め」のやり方

❶あおむけになり、足を肩幅に開き、つま先はやや上に向ける。

❷1、2と頭の中で数えながら、お尻の割れ目を閉じるように力を入れ、同時につま先を外側に開く。
❸3、4でお尻を緩め、つま先を元の位置に戻す。
❹②〜③を10回くり返す。
※これを1セットとして、できれば朝昼夜に1セットずつ行う。

「股関節締め」のポイント
ひざを伸ばせない人は、クッションやタオルを丸めてひざの下に置き、ひざを軽く曲げた状態で行う。
頻尿や便秘が解消!3時間歩いても平気!
最後に、股関節締めを自宅で行うようになって、脊柱管狭窄症が改善した2例をご紹介しましょう。
●Mさん(81歳・女性)
Mさんは、昨年1月、両足のひざ下から足裏にかけてしびれが出て、立つとぐらぐらしていました。そこで、病院で診てもらうと、脊柱管狭窄症とすべり症(背骨の一部がズレて起こる病気)があるといわれ、薬を処方してもらいました。
ところが、薬を飲んでも症状は少しも改善しません。むしろしびれや痛みがひどくなり、手押し車(シルバーカー)なしでは外出できなくなりました。さらに、トイレの回数が急増。6月になると、医師から手術を勧められました。
当院に来られたのは7月。施術に加えて、股関節締めを自宅で行うように指導しました。8月になると、しびれや痛みが軽減。10月には、歩行が安定し、手押し車も不要になりました。さらに、1時間歩くことも平気になり、好きなグラウンドゴルフも楽しめるようになったと喜んでおられました。
●Aさん(83歳・男性)
昨年10月、Aさんは脊柱管狭窄症の特徴的な症状である間欠跛行で100m歩くのがやっとでした。間欠跛行とは、しばらく歩いていると足腰に痛みやしびれが出て歩けなくなるものの、少し休むと症状が和らぎ、再び歩けるようになる症状のことです。また、排便時に右足が強く痛むせいで、いきめなくなって便秘にも悩んでいました。
当院で11月から施術を始め、自宅で股関節締めをやってもらったところ、12月には症状が軽快し、排便時の右足の痛みもなくなりました。現在、3時間歩き続けても平気で、元気に外出されることが増えたそうです。
このように、股関節締めを行うことで、脊柱管狭窄症が改善された人はおおぜいいます。Mさんにあった頻尿などの排尿障害、Aさんにあった便秘も、脊柱管狭窄症の一部の人に現れる症状です。それらが解消したという人も少なくありません。また、体のバランスが整うので、股関節痛やひざ痛が改善したケースもよくあります。