軟骨がすり減らないよう現状を保つことが肝心
「立ち上がるときに痛い」、「階段を上るときはなんともないけど、下るときに痛みが出る」、「正座すると痛い」といったひざ痛のほとんどは、「変形性ひざ関節症」と考えられます。
これは、ひざの軟骨がすり減って骨どうしが接触しやすくなることによって、痛みが出たり炎症が起こったりする病気です。
変形性ひざ関節症の主な原因は、加齢によるものです。
50代で約5割、70~80代でおよそ7~8割の人がなるともいわれています。
つまり、変形性ひざ関節症は、私たちの誰もがかかる可能性があるのです。
残念なことに、いったんすり減った軟骨を元に戻すことはできません。
いくらサプリメントや薬を飲んでも、変形した軟骨を元に戻すのはかなり困難といえます。
ですから、軟骨がすり減り始めて痛みを感じるようになったら、軟骨がそれ以上すり減らないよう、現状を保つことが肝心なのです。
また、今のところはひざが悪くなっていないかたも、悪くなる前に変形性ひざ関節症の予防に努めるべきです。
では、変形性ひざ関節症の予防・改善のために必要なポイントについて、別記事では、適切な運動を行い、ひざを支える筋肉を強化することをお勧めしました。
ここでは、特に食生活についてお話ししましょう。
日ごろの食事でまず心がけるべきことは、摂取カロリーを減らして体重を落とすことです。
歩くときにひざにかかる重量は、体重の3倍ともいわれています。
体重が重くなればなるほど、ひざへの負担は大きくなります。
現在、体重がかなり重く、ひざの痛みを感じている人は、ウォーキングなどをしながら減量に努めましょう。
次に、栄養バランスの取れた食事をすることも大切です。
骨や筋肉などの組織は、食事から摂取する栄養素を基に作られています。
炭水化物、たんぱく質、ビタミン、ミネラルなどの栄養素を、バランスよくしっかりとれば、ひざを支える骨や筋肉を丈夫にすることにつながります。
古来、薬として用いられてきたショウガ

抗炎症作用が軟骨のすり減りと痛みを軽減
私が、ひざ痛の解消に特にお勧めしたい食材は「ショウガ」です。
ショウガが古来、薬用に利用されてきた健康効果の高い食材であることは皆さんもご存じでしょう。
例えば、ショウガの辛味成分であるジンゲロールは、痛みを抑えたり、抗炎症作用を発揮したりすることが知られています。
また、ショウガを加熱すると、ジンゲロールの一部が、ショウガオールという物質に変化します。
このショウガオールには、血行促進効果があり、冷え症の解消によいとされています。
さらにショウガには、優れた抗酸化作用があります。
変形性ひざ関節症は、ひざの老化によって起こる症状です。
ショウガの持っている優れたアンチエイジング効果は、ひざ痛の緩和にいい影響をもたらすでしょう。
海外の論文などを調べてみると、ショウガを摂取したことで、変形性ひざ関節症の痛みが軽減したという報告がなされています。
例えば、2001年に実施された、マイアミ大学のアルトマン教授の研究は、非常に興味深いものです。
これは、変形性ひざ関節症の患者さん261人を対象にした臨床実験です。
この261人を、ショウガエキスを毎日摂取したグループと、摂取しないグループという二つの群に分け、6週間にわたって、痛みの感じ方がどう変わったかを観察したのです。
すると、ショウガエキスを摂取したグループでは、痛みがおよそ4割軽減したという結果が出ています。
変形性ひざ関節症では、軟骨に炎症が起こると、痛みがひどくなるだけでなく、炎症が軟骨のすり減りを進行させてしまいます。
つまり、炎症を抑えることが、症状の悪化を防ぐことにもつながるわけです。
ショウガが持っている抗炎症作用により、炎症を防いで痛みを軽減すると考えられます。
この実験の場合、ショウガエキスを1日に約60g摂取しています。
市販されているすり下したショウガのチューブにすれば、およそ1本半分ですから、かなりの量です。
実際、これほどの量を毎日摂取することは難しいとは思いますが、いずれにしても、ショウガを積極的に食事の中に取り入れることは、ひざの健康を保つうえで、非常にお勧めです。
ショウガは、炒め物、みそ汁やスープなど、多くのレシピに利用することができます。
すり下ろして紅茶に加えてもおいしいでしょう。
血行と代謝を促進し、ダイエットの補助食品としても有効なので、ひざ痛の大敵である肥満解消にも役立ちます。
ひざ痛にお悩みの皆さんは、日ごろから積極的にショウガを摂取してください。
代謝を上げればダイエット効果も
