背骨をS字型に戻し腰への負担を軽減する
私の治療院やセミナーには、脊柱管狭窄症に悩む人が多くいらっしゃいます。
そんなかたがたに私は、「おなかをやわらかくすること」と「体の各部位の位置や向きを整えること」を指導します。
なかでも、自宅で簡単にできる方法として、患者さんに勧めているのが、「よつんばいポーズ」です。
これは、脊柱管狭窄症の患者さんの「姿勢」と関係があります。
私たちの体は本来、腕を自然に下ろすと、ひじが後ろを向く構造になっています。
ところが、現代人の多くは、ひじが外側を向いているのです。
皆さんも、ご自身のひじの向きを見てみてください。
ひじが外を向き、わきが空いていませんか?
そして、肩が前に出ているのではないでしょうか。
この状態だと、背中側の筋肉が引っ張られ、伸びた状態になります。
反対側の腹筋は、かたく縮みます。
脊柱管狭窄症の患者さんは、この傾向が非常に強くなっています。
ひじを横に張り、背筋が引っ張られて伸びているため、背中が丸くなります。
腹筋は収縮しているので、おなかを触るとかたくなっているのです。
どこかの筋肉が伸びると、反対側の筋肉が縮むのは自然なことです。
ただし、これは、体を動かすことで、頻繁に入れ替わるのが普通です。
しかし、背中側が常に引っ張られて伸び、おなか側が縮んだ体勢でいると、どうなるでしょうか。
背骨の本来の形である緩やかなS字型がくずれ、背骨の中を通る脊柱管も、常に圧迫された状態になります。
ですから、脊柱管狭窄症の症状を根本的に改善するには、姿勢を本来の形に戻し、腰への負担を減らすことが必要になります。
それに最適なのが、よつんばいポーズなのです。
よつんばいポーズを行うことで、まず、縮んでかたくなったおなかが緩み、やわらかくなります。
それにより、背中の筋肉とのバランスが取れ、背骨への圧迫が軽減するのです。
また、毎日行うことで、手足の向きと位置を正しくする習慣づけにもなります。
「小さく前へならえ」を習慣にすると姿勢が整う
よつんばいポーズのやり方は、下図解をご覧ください。
よつんばいになる前に、立った姿勢で「小さく前へならえ」をすると、ひじを後ろに向ける感覚がよくわかります。
その状態で、かけ足のときのように、左右の腕を前後に振ってください。
わきを締め、腕の内側と胸の横をこすり合わせましょう。
このウォーミングアップで、ひじが自然と後ろを向きます。
よつんばいになるときは、腕と太ももを、床に対して垂直にすることが重要です。
最も安定した体勢だからです。ポイントは、手のひらのつけ根と、ひざのお皿の下を、床につけること。
これを意識すると、体が安定します。
よつんばいになったら、重心を右に乗せてください。ふらつきませんか?
ふらついたら、手足の位置を調整しましょう。
同様に、左にも重心を乗せて、安定感を確認してください。
体勢が整ったら、おなかを凹ませたり、膨らませたりを5回ずつ行います。
かたく縮んだ腹筋が緩み、背筋とのバランスが整います。
よつんばいポーズは、朝起きたときと、夜寝る前の1日2回を目安に行いましょう。
何回行ってもいいので、そのほかの時間にやってもかまいません。
日常生活でも、手足の向きや姿勢に気をつけてください。
仕事や食事をしているときも、ひじが後ろを向き、外を向いていないか、注意しましょう。
こまめに「小さく前へならえ」をする習慣をつけるといいと思います。
脊柱管狭窄症による痛みやしびれで、生活に支障を来している人は、ぜひ、よつんばいポーズを試してください。
全身のバランスが整い、痛みやしびれが軽減して、心身が楽になるでしょう。
脊柱管狭窄症に効く、よつんばいポーズ
