車イスで運ばれるほどの腰痛が1ヵ月半で解消
私のもとには、腰痛やひざ痛、股関節痛などの患者さんが、数多くいらっしゃいます。
最近、特に増えてきたのが、脊柱管狭窄症による痛みやしびれを訴えるかたです。
皆さん、整形外科を受診し、鍼灸やマッサージなどの治療院に通い、それでも症状が改善しないといいます。
私は、「体のゆがみを取り、全身を整えることで症状を改善する」という操体法の治療を行っています。
痛いところを押したりもんだりしないので、患者さんは「ほんとうに治るのか?」と最初は半信半疑です。
でも実際に、痛みやしびれが「薄皮をはぐように」軽くなっていくので、私がセルフケアとして指導する「寝ながら体操」(寝ながら体操のやり方はこちら)を、自宅で熱心に続けてくれます。
治療の補助として行う寝ながら体操で、実際に、脊柱管狭窄症の症状から解放された患者さんの例を、いくつかご紹介しましょう。
会社社長のAさん(56歳・男性)は、長年、競技ゴルフを続けていて、全国大会で好成績を上げるほどの腕前です。
そのAさんが、40代後半から、脊柱管狭窄症による腰痛に悩むようになりました。
しだいに痛みが激しくなり、鎮痛剤の注射を打ちながら、ゴルフを続けていたといいます。
そして、ついに2年前、歩くことも困難になり、私のもとに見えたのです。
「足首から先は動くから」と、自分で車を運転してきたものの、駐車場からは、私のスタッフがAさんを車イスに乗せて運ぶという状態でした。
Aさんの症状は、体のバランスを整えることで改善すると思われたので、その場で寝ながら体操を行ってもらいました。
とはいえ、痛みとしびれのため、思うように体を動かせないので、私が手を添えて誘導しながら、少しずつ、痛くない方向へ動かしていきました。
Aさんにやってもらったのは、「ひざ頭ずらし」「背中伸ばし」「ひざ倒し」です(やり方はこちら)。
この三つを行うと、「前後、左右、左右のひねり」という6方向への動きを網羅でき、体のバランスを整えることができます。
三つの体操を覚えてもらい、「家で1日2〜3回やってください」といったところ、Aさんは忠実に行ってくれました。
それから2週間後には、足腰の動きがスムーズになり、1ヵ月半ほどで、腰痛がすっかり解消しました。
今は、また元気にゴルフの大会に出場しています。
腰痛が治りゴルフを再開

眠れないほどの首痛と手のしびれが解消した
事務職のBさん(57歳・男性)は、若いころから何回もギックリ腰をくり返していました。
さらに、不幸にも3回も追突事故に遭い、そのつどムチ打ち症になったそうです。
そうした背骨へのダメージが積もり積もったのか、だいぶ前から、パソコンを打つときに手がしびれていたとのこと。
近年は、首が痛くてたまらず、あおむけになれない状態でした。
Bさんが、私のもとに見えたときも、「横になって休めないので、昨夜はソファに座ってウトウトしただけです」と、かなりつらそうでした。
そのBさんに対して私が勧めたのが、「背中伸ばし」「ひざ倒し」に加えて「輪っかのぞき」という体操です。
輪っかのぞきは、Bさんのように腕を上げられない人でも、肩甲骨や首を気持ちよく動かすことができます。
これらの体操を行って帰宅したところ、早くもその日に、あおむけで寝られたそうです。
そして、自宅でも三つの体操を続けたところ、2〜3週間で首の痛みが気にならなくなり、ベッドで熟睡できるようになったと喜んでいました。
手のしびれも解消しました。
公務員のCさん(56歳・女性)は、以前から姿勢が悪いといわれていました。
昨年の10月ごろ、右腕を上げると肩に痛みが走るようになりました。
整形外科や整体に通いましたが、痛みは消えませんでした。
今年に入ってから、右手の中指に、しびれとこわばりが出始めました。
リウマチの検査を受けましたが、結果は問題なし。
そこで、西洋医学以外の道を探った結果、私にたどり着いたそうです。
Cさんにあおむけになってもらったところ、全身の関節がかたまっていて、びっくりしました。
かかと、お尻、肩甲骨、後頭部以外は床につかず、背骨も肩もひざも宙に浮いた状態なのです。
これでは、脊柱管全体が狭窄を起こしていても不思議ではないと感じました。
Cさんには、「ひざ頭ずらし」「背中伸ばし」「ひざ倒し」のほか、いくつかの体操を教えました。
家でも熱心に行ったようで、日を追うごとに、筋肉や関節のこわばりが取れていくのがわかりました。
4回めに来たときには、あおむけになると、背中やひざが床につくようになっていました。
同時に、肩の痛みや指のしびれも解消していたのです。
このように、寝ながら体操で、つらい症状が楽になった人は後を絶ちません。
皆さんも、痛みやしびれのない体づくりに、ぜひ役立ててください。