カロリーは足りていても栄養素が不足していた!
今でこそ私は、身長160㎝体重50㎏ですが、学生時代は65㎏もありました。
子供のころ、あだ名が「イノブタ」だったといえば、イメージがわくでしょうか。
私は、丸く太った女の子だったのです。
ただ、自分が太っているとは思っていませんでした。
肥満家系ということもあって「少しくらい肉づきがいいほうが女の子はカワイイんじゃないの?」と思っていたほどです。
その後、麻酔科医として病院での激務に追われるなかで、どんどん不健康になっていきました。
夜勤や徹夜はあたりまえ。22度前後に保たれた肌寒い手術室。
いつ呼び出されるかわからないので、トイレにも行けず、極度の便秘。
肌はボロボロに荒れました。食生活もめちゃくちゃでした。
朝はおにぎりをコーヒーで流し込み、昼はチョコレートをかじるだけ。夜は大学イモ。
これで、なんとなく「摂取カロリー(エネルギー)は足りているだろう」と思っていたのです。
その後、それすらめんどうになって、いつの間にか私の家の冷蔵庫には、食パンと日本酒しか常備されなくなりました。
たまに時間ができると、好物のたこ焼きを買って帰り、日本酒といっしょに食べるという生活でした。
それが、ほぼ唯一の息抜きであり、ぜいたくだったのです。
確かに、摂取カロリーは足りていたかもしれません。
しかし、血となり肉となる栄養素が、圧倒的に不足していました。
ですから、「太っているのに力が出ない」「脂肪ばかりで筋肉が少ない」「疲れやすく、体調をくずしやすい」という体になっていきました。
体重が増えたのを気にして、絶食するような過激なダイエットをしては、その後当然のようにリバウンドすることをくり返しました。
さらには、太っているのに栄養失調で脚気(ビタミンB1の欠乏によって、下肢のむくみやしびれを起こす病気)になって入院したりもしました。
過労で倒れたこともあります。
仕事に復帰すると、ストレスを、食べることで解消して太ってしまい、また過激なダイエットをしたり……。
そのように、太ったりやせたりすることを、10年以上くり返したのです。
自分に合ったヨーグルト探しが大事!
34歳のとき、ついに体から悲鳴が聞こえてきました。
とにかく体調が悪く、常に疲れていて、体も頭もいうことを聞かないような状態でした。
そしてようやく、「やせよう!」と決心したのです。
しかし、脂肪を落とすことだけを考えたダイエットでは、体力まで落ちてしまうことは目に見えていました。
そこで私が実践したのが「たんぱく質をとるダイエット」でした。
たんぱく質といっても、なんでもいいわけではなく、効率的に筋肉をつくる「良質のたんぱく質」を積極的にとりました。
具体的には、肉、魚、卵、乳製品、豆腐や納豆などの大豆製品です。
良質のたんぱく質をとることで筋肉をつくると、ただやせるだけでなく、いつまでも美しく健康な体になります。
とはいえ、私も忙しい身の上です。
簡単なダイエット法でなければ、続けられません。
1日3食、良質のたんぱく質を使った料理を作るのは、ちょっとハードルが高いと思いました。
そこで私は、「昼食を、無糖ヨーグルト1パックに置き換える」という方法を取ったのです。
職場の冷蔵庫にヨーグルトを保存しておき、毎日昼食に食べ続けました。
「昼ヨーグルトダイエット」です。
先ほども申し上げたように、ヨーグルトなどの乳製品は、効率的に筋肉をつくる、良質のたんぱく質です。
ヨーグルトを1パック(約450g)食べれば、満腹感もじゅうぶん得られます。
家族のことを考えると、朝食と夕食はある程度しっかり用意しなければなりませんが、自分1人ならいくらでも手抜きができます。
また、ヨーグルトには「筋肉をつくる」という働き以外にも、腸内環境を整える作用があるのは、皆さんもよくご存じでしょう。
それまでの私は、週に1回、大量の下剤を飲んで無理やり出すほど、極度の便秘でした。
それが、昼ヨーグルトダイエットを1週間続けたところ、「あれ?したいかも」と、自然な便意を催したのです。
これには、ほんとうに驚きました。
ところが翌週、別のヨーグルトを1週間食べ続けたところ、前の週ほどの効果はありませんでした。
その翌週、また別のヨーグルトを試しましたが、やはり1週めほどではありません。
そこで、最初のヨーグルトに戻ったところ、スルスルと出るのです。
ヨーグルトのビフィズス菌には、さまざまな種類があり、「菌株」で分けられ、研究されています。
自分に合う菌株でないと、腸内環境の改善は望めません。
自分に合う菌株は、実際に1週間程度、続けて食べてみないとわかりません。
私もこうして、自分に合ったヨーグルトを見つけました。
そのあとは、そのヨーグルトを食べ続け、快腸を保っています。
さらに、昼食を無糖ヨーグルトに置き換える方法なら、摂取カロリーを押さえられます。
ですから、朝と夜は、お酒や炭水化物、スイーツなどをほどよく楽しむことができ、ストレスがありません。
ダイエットの大敵は、ストレスです。我慢や制限の多いダイエットは長続きせず、リバウンドする危険性が高くなります。
ストレスを制する者は、ダイエットも制するのです。
昼ヨーグルトダイエットで15kg痩せてスッキリ
解説者のプロフィール
富永喜代
富永ペインクリニック院長。
医学博士。
ペインクリニック臨床医学、東洋鍼灸医学、認知行動療法を合わせた独自のメソッドを開発。
著書に『1分間血流アップ体操で超健康になる』(アスコム)などがありTV出演も多数。
●富永ペインクリニック
愛媛県松山市此花町7-33
TEL 089-921-7711
http://www.tominaga-clinic.net/

冒頭でお話ししたように、私が15㎏もの減量を達成できたのも、ストレスなく続けられる昼ヨーグルトダイエットによるところ、大です。
体重が減ったのはもちろん、体調も格段によくなりました。
仕事が忙しくてへとへとに疲れても、一晩寝れば元気に復活できますし、日中ボーッとすることもありません。
肌の調子も良好です。若いころのようなボロボロの肌とは、もう決別しました。
飽きずに食べ続けるために、ヨーグルトには、フルーツソースをかけて食べています。
最近は、さまざまな種類のフルーツソースが売られているので、それを選ぶのも楽しいものです。
たまには百貨店などで、高級なフルーツソースを買ってみるのもいいでしょう。
ヨーグルトが安いので、トータルで考えれば、普通の昼食をとるより安上がりです。
もちろん、ソースではなく、生の果物を入れることもあります。
旬の味覚を味わえますし、食物繊維やビタミン、ミネラルも摂取することができます。
ほかにも、きな粉やハチミツも、ヨーグルトに合います。
自分なりに気に入った組み合わせをいくつか用意しておくと、無理なく楽しみながら、ヨーグルトを食べ続けられます。
こうして私は、体重と体調を健康に維持しているのです。
昼ヨーグルトダイエットの詳しいやり方を、別記事で紹介しています。
ぜひお試しください。