関節痛も肥満も「体のねじれ」が原因だ!
私が骨盤に着目し、研究するようになったのは、患者さんの体に、ある共通点を見つけたことがきっかけでした。
ひざ痛や腰痛、股関節痛、肩こりなど、関節周辺の痛みを抱える患者さんは、ほぼ全員、姿勢が悪く、体重が標準値をオーバーしているのです。
以前は、患者さんが痛みを訴える箇所を、直接治療していました。
しかし、その方法だと、一時的に痛みが軽減しても、すぐにぶり返すことが多いのが悩みでした。
また、私の接骨院では、関節への負担を軽減するために、施術と併用して食事指導をしています。
患者さんの努力が続いているときはいいのですが、「やせたいところが細くならない」「食事制限が我慢できない」という不満が出て長続きせず、効果を持続できないのが現状でした。
私は、「関節痛も肥満も、なぜ根本的に改善できないのだろう」と考えました。
そのとき思い当たったのが、「体のねじれ」だったのです。
ふだんの姿勢や動き方のクセなどによって、私たちの体はねじれています。
鏡を見て、表面的に体をまっすぐに整えても、筋肉や骨格など、内部のねじれが改善されなければ、たちまち元の木阿弥です。
現代人は、座って前かがみで動作する機会がとても多くなっています。
食事もデスクワークもスマートフォンの操作も、たいていの人が前かがみになって行っています。
やがて、この状態がクセになり、立っているときや歩いているときにも、前かがみの姿勢になります。
上半身が前かがみになると、バランスを取るため、下半身の外側に重心がかかります。
その結果、大腿骨(太ももの骨)が外側に開き、大腿骨に引っ張られて、骨盤も開いてしまいます。
高齢女性のO脚は、ほとんどがこうした流れによるものです。
大腿骨が外側に張り出すと、骨盤と大腿骨を結ぶ腸骨筋が、緊張してかたくなります。
つまり、「前かがみでO脚」という状態で、体が固定されてしまうのです。
骨盤押しダイエットのやり方

リバウンドをくり返した人が楽々やせている!
また、前かがみの姿勢は、下半身太りや全身の肥満にもつながります。
前述したように、大腿骨が外側に開くと、太ももの外側が出っ張り、骨盤も開いてしまいます。
すると、下半身の筋肉を効率よく使うことができず、お尻や太ももに余分な脂肪がつきやすくなるのです。
さらに、前かがみになると、内臓の上部が圧迫されるので、胃が下垂します。
これが、食べすぎの原因になるのです。
胃が本来の位置にあれば、肋骨の中に収まっているので、ある程度までしか広がりません。
ところが、下垂して肋骨の下に落ちると、囲いがなくなった状態になり、胃はどんどん広がります。
そのため、満腹感を得にくくなり、食べすぎてしまうのです。
正しい姿勢を保ち、胃を正常な位置に戻せば、適正な量で食事を終えることができるようになります。
「体のねじれを取り、正しい姿勢に戻すには、どこから手をつけたらいいだろうか」
たどり着いたのが、体の土台である骨盤を整えることでした。
外側に開いた大腿骨を内側に入れて、かたく緊張した腸骨筋を緩め、骨盤を締めれば、体のねじれが根本から正せるだろうと考えたのです。
そして私は、以下の三つを目的とした方法を考えました。
❶ 太ももの外側の筋肉を緩める
❷ 腸骨筋をほぐし、大腿骨を閉じて骨盤を締める
❸ 内臓を正しい位置に整える
実際に患者さんに勧めていますが、健康的にダイエットに成功する人が続出し、私自身が驚いています。
詳しいやり方は、上の写真図解をご覧ください。
簡単に説明すると、足をイスなどに乗せて筋肉を緩めたうえで、開いた骨盤を締めるのです。
ひととおり行っても、6〜7分しかかかりません。
1日に何度行っても、いつ行ってもいいのですが、お風呂上がりがお勧めです。
筋肉が温まって緩みやすいため、効果が高まります。
大切なのは、1日1回以上、毎日継続すること。
ただし、体調の悪いときは、無理して行う必要はありません。
大腿骨や骨盤の広がりが改善することで、下半身太りの解消効果が期待できます。
正しく歩けるようになるため、ひざ痛や股関節痛が改善するケースもあります。
骨盤が開いた状態と絞まった状態の差

また、内臓が正しい位置に収まると、食べる量が適正になり、減量効果を得られます。
患者さんのなかには、今まで何度もリバウンドしていたのに、「無理なく甘いお菓子を控えられる」「腹八分目で満足できる」という状態になり、健康的に10kg以上やせた人が続出しているのです。
内臓の働きもよくなるので、便秘解消にも役立ちます。
体のねじれが取れることで、全身の筋肉が動きやすくなります。
その結果、肩こりや首の痛み、腰痛が改善したり、長年の頭痛が消えたりした人もいます。
体の不調を抱えている人や、健康的に美しくやせたい人は、ぜひ今日から始めてください。
解説者のプロフィール

碁盤一晴
1969年、兵庫県生まれ。明治東洋医学院専門学校(旧・明治柔道整復専門学校)卒業。柔道整復師。1993年、神戸市須磨区に、ごばん接骨院を開設。施術と並行して、運動療法やストレッチなど、不快症状を改善するためのセルフケアを指導。肥満や生活習慣病の予防・改善を目的に、骨格と骨盤の矯正を基本としたダイエット法を多数考案。丁寧なサポートに定評がある。
●ごばん接骨院
神戸市須磨区宝田町3-2-5
http://goban-body.com/