骨格のゆがみこそが全身の不調の元凶!
腰やひざの痛みから、高血圧や糖尿病といった生活習慣病まで、体のあらゆる不調の根本原因は、「体のゆがみ」にあると私は考えています。
悪い姿勢がクセになり、体がゆがんでくると、筋肉に痛みが生じてきたり、内臓に余計な負荷がかかって機能が低下したりしてきます。
それによって、体のさまざまな面に悪影響が及ぶのです。
体の土台の役割を担っているのは、骨格です。
家を建てるとき、基礎と柱がしっかりしていないと、家が傾いて支障が出てくるでしょう。
それと同じで、人間の体も骨格がゆがむと、体のいろんなところに不具合が生じるのです。
肩や首のコリ、腰やひざの痛みといった筋肉の不調による症状は、その代表といえるでしょう。
本来、人間の体は、骨で体重を支えています。
ところが、骨格がゆがむと骨だけでうまく体重を支えることができなくなり、骨と骨をつないでいる筋肉にも、大きな負荷がかかってきます。
その状態が長く続くと、筋肉が疲弊してきて、コリや痛みが生じてくるのです。
例えば、ひざに痛みを訴える人の多くは、O脚です。
足の骨格が湾曲してO型に広がっていることによって、ひざの筋肉に余計な負荷がかかり、痛みが発生するのです。
O脚のように骨格がゆがむと、体型がくずれるため、見た目も悪くなるでしょう。
よく見かけるのが、反り腰になって、おなかが前に突き出ている人です。
これは、いつも体の重心が前に偏っているために、バランスを取ろうと腰を反らし、体重を支えなければならなくなった状態です。
また、骨で支えきれない体重をなんとか支えようとして、筋肉にも大きな負荷がかかります。
このようなくずれた姿勢では、腹筋が正しく使われないため、おなかにも脂肪がつきやすくなります。
おなかがポッコリと出やすくなり、決して美しい体型とはいえません。
骨盤の状態を正しく矯正する
さらに、骨格がゆがんでくると、前述したように、内臓の機能も低下します。
例えば、いつも重心が後ろに偏っている人は、体は自然にバランスを取ろうとして、頭を前に突き出すような格好になります。
この姿勢だとおなかが押し潰されて内臓が圧迫され、正常に働かなくなってしまうのです。
体がどちらか左右一方に傾いてしまっている側湾症のかたも、同様のことがいえます。
私は以前から、こうした骨格のゆがみに着目し、「体の不調を改善するには、骨格を整えることがなによりも大切」と訴えてきました。
そして、その考えに基づき、構造医学などの西洋医学と、整体や漢方などの東洋医学の理論と技術を併せた「バランス健康法」という独自の健康法を提唱しています。
今回は、そのバランス健康法の一環として私が勧めている、日常生活で簡単にできる「腰ひも療法」をご紹介しましょう。
用意するものは、和服や浴衣を着るときに使う腰ひも1本です。
ひもを背中のウエスト部分に当てます。このとき、ひものどちらか片方を少しだけ長くしておきましょう。
後ろから前にひもを持ってきて、へそと股間の中間辺りで、ひもを一回巻いてから交差させます。
そして、ひもの長い方を再び後ろに回してお尻の中央部分を通り、ウエストの横でもう一方のひもの先端と結びます。
後ろから見たとき、ちょうど、ひもとひもの間に、骨盤がすっぽりと収まるようなイメージです。
骨盤をギュッとひもで締めることで、骨盤がまっすぐに立った状態になります。
骨盤は、背骨や内臓を下から支えている、とても重要な骨です。
「腰ひも療法」のやり方

足のしびれが消えた!スタスタ歩ける!
東洋医学的な観点から見ると、ひもがクロスしているところは、ちょうど「丹田」と呼ばれる場所です。
丹田は、体の中心であり、気(生命エネルギー)が集まる場所とされています。
ここを中心にしてひもを巻くことで、全身の気の流れがよくなります。
さらに、帯脈という経絡(気の通り道)に沿って巻くので、その点からも、全身を巡る気と、血液の流れの促進効果が期待できるでしょう。
実際に実践した人からは、「無理なく姿勢が矯正できた」「ひどかった腰痛が緩和した」「下半身の血行がよくなり、足のしびれがなくなった」「股関節の痛みが解消して、スタスタと歩けるようになった」といったように、さまざまな声が届いています。
ダイエット効果も高く、短期間でウエストが大きく縮小したかたもいます。
33歳の女性Aさんは、もともと、腰とひざに痛みを抱えており、その改善のために腰にひもを巻くようにしました。
すると、1ヵ月後には、腰とひざの痛みが解消したばかりか、それまではいていたズボンがブカブカになっていました。
Aさんに聞くと、なんと83cmあったウエスト周りが、73cmにまで細くなったというのです。
さらに、以前に比べてあまりおなかがすかなくなり、間食がへったともおっしゃっていました。
ほかにも、体重が8kgへった人や、垂れていたお尻がキュッと上がって、スタイルがよくなったというかたもいました。
また、自分でひもを作り、ファッションとして楽しんでいるかたもいました。腰椎すべり症で腰の痛みに悩まされていた、当時67歳の女性Bさんは、着物の帯ですてきな腰ひもを手作りしていました。
それを服の上から巻き、自分流のおしゃれとして楽しみながら続けていたのです。
おしゃれの一環なので、全く苦痛ではありません。
気づいたときには、腰痛が改善したと喜んでおられました。
腰に巻くひもの素材は、なんでもけっこうですが、伸縮性のないものを選んでください。
太さは2〜4cm、長さは180〜250cmぐらいのものがいいでしょう。
服の上から巻いてもかまいません。
ひもは、1日じゅう巻いていてもいいですが、初めは1日2時間ぐらいから始めればじゅうぶんです。
自分の無理のない範囲で続けてください。
また、ひもが食い込んで腰が痛いというかたは、肌着とひもとの間に、1枚タオルをはさんでもかまいません。
皆さんも、まずは一度巻いてみてください。
体がしっかりと支えられる安定感と、姿勢がまっすぐになる気持ちよさが、きっと実感できると思います。
解説者のプロフィール

北濱みどり
グリーン健康会代表・社会福祉士。
国際中医師A級ライセンス取得。
著書に『1日3分「腕振り」で肩こり・腰痛がとれる!』(KADOKAWA)がある。
●グリーン健康会
http://www.green-kenko.com/
骨格がゆがんでいる人は、この骨盤が傾いていることが多いのですが、それを正しい位置へと矯正します。
また、ひもを巻いた状態で少しでも楽な姿勢を取ろうとすると、ひもが腰に食い込むため、正しい姿勢を常に意識するようになるのです。
骨盤を立ててよい姿勢を保つには、腹筋をよく使います。
腰にひもを巻いている間は、ずっと腹筋運動をやっているようなもの。
腹筋を鍛えることは、腰痛対策にはもちろんのこと、ポッコリおなかの解消にも役立ちます。