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糖質制限ダイエットの効果 デメリットや危険性 成功のコツを名医が伝授

糖質制限ダイエットの効果 デメリットや危険性 成功のコツを名医が伝授

近年、なにかと話題になる糖質制限ダイエットですが、私は基本的には、糖質をある程度制限することに賛成です。飽食日本において、糖質は、本能と闘ってでも、意識して減らす必要があるのです。ただし、極端な糖質制限には反対です。【解説】上山博康(禎心会脳疾患研究所所長・脳神経外科医師)

脳が欲しがり中毒性がある!炭水化物は麻薬のようなもの

近年、なにかと話題になる糖質制限ダイエットですが、私は基本的には、糖質をある程度制限することに賛成です。

人体には、空腹で血糖値が低下したときでも活動を持続させるため、血糖値を上昇させる働きを持つホルモンが、複数存在します。しかし一方で、食べ過ぎて血糖が上昇したとき、それを低下させるホルモンはインスリン一つしかありません。

これは、体の成り立ちを考えれば当然のことです。人類の歴史を振り返ると、それは常に、飢えとの闘いでした。そして、飢えをしのぐため、育てやすいように品種改良を重ねて得てきた穀物が、米や小麦といった炭水化物です。

炭水化物は、食べてすぐに糖に分解され、血糖値を上げます。人体にとって、非常に栄養効率のいいエネルギー源なのです。人類の本能には、遺伝的に、餓死への恐怖が組み込まれていますから、炭水化物を体にとり込みたいと思うのは、自然の摂理といえます。

つまり、糖質への欲求を制御するのは、本能的に困難なのです。

脳が欲しがる、中毒性があるといった意味では、炭水化物や甘い物、特に精白された砂糖や穀類は、麻薬のようなものです。そのうえ、飢えに苦しんでいた昔と異なり、現代はおいしいものがあふれているので、つい糖質をとり過ぎてしまいます。

しかし、ご承知のとおり、糖質の過剰な摂取は、糖尿病をはじめとした病気や肥満を招くので、注意しなければなりません。飽食日本において、糖質は、本能と闘ってでも、意識して減らす必要があるのです。

ただし、極端な糖質制限には反対です。

日本人は、まじめ気質なので、やると決めたら徹底的にやる人が多く見られますが、体が糖質を必要としているのに、完全オフにするのは危険です。

死につながりかねません。

ダイエットに無理は禁物。「いっさいとらない」というのではなく、あくまで「少しずつ量を減らし、控えめにする」のが、安全で効果的な糖質制限法なのです。

野菜はサラダにするよりも加熱してとるのがお勧め!

ダイエットのカギは、満腹感です。早く満腹感を得られれば、自然と食べ過ぎずに済みます。
満腹感を得るには二つの手段があり、

① 血糖値を上げる
② 胃袋を膨満させる

このどちらかを、食事開始後、早い段階で達成することが重要です。

① のためには、当然のようですが、ゆっくりと、よく噛かんで食べることです。

よく噛むと、食べるのに時間がかかるので、その間に血糖値が上昇します。すると、脳にある満腹中枢が刺激され、食事の途中でも、満足感を得られるのです。

これに対して、早食いは、満腹中枢が刺激される前にどんどん食物を口に入れてしまうので、食べ過ぎにつながります。

食事の30分ほど前に、あめ玉を一つ舐めておくのも、悪くありません。あらかじめ、少し血糖値を上げておくことで、満腹感を得やすくなります。

② のためには、とにかく物理的におなかをふくらませること。

食事の少し前に、トコロテンやコンニャクなど、かさのある物を食べておきます。胃がいっぱいになっていれば、当然、そう多くは入りません。

大食いの人は、胃袋が伸びて大きくなっているので、1食当たりの量を減らし、食事の回数を増やすのもいいでしょう。だんだんと胃袋が小さくなってきます。

ただ、ダイエットで減らすべきは、あくまで「とり過ぎている」炭水化物です。

たんぱく質やビタミン、ミネラル類などは体を機能させるうえで必須ですから、そこは、適量をきちんととることが大切です。

糖質を制限しつつ栄養素はしっかり、となると、「では野菜サラダを食べればいいですね」という人がいます。

ところがどっこい、私は野菜サラダ反対論者です(笑)。生の野菜は、そう多くは食べられません。量が取れないのであれば、大した栄養もとり込めないでしょう。

しかも、そのままでは味気ないので、ドレッシングなどをかけざるをえません。それは、塩分や油脂のとり過ぎにつながります。

「生じゃないと栄養素が壊れる」などともいいますが、ビタミンであれば、加熱しても、C以外は残っています。とれなかったビタミンCは、果物で補給すればいいのです。野菜を生で食べるメリットは、さほどありません。

そうしたわけで、野菜は加熱してとるのがお勧めです。

温野菜もいいですが、私のお気に入りは、出汁をしっかりきかせた、けんちん汁や豚汁。根菜でボリュームたっぷり、それだけで満腹になります。

薄味で作れば、ご飯を食べたくなる欲求も抑えられるでしょう。そう、実は塩分を控えるのが、糖質を控えるコツなのです。

解説者のプロフィール

上山博康
禎心会脳疾患研究所所長・脳神経外科医師
社会医療法人禎心会脳疾患研究所所長。1948年、青森県生まれ。日本脳神経外科学会専門医。73年、北海道大学医学部卒業。秋田県立脳血管研究センター、北大医学部脳神経外科講師などを経て、92年に旭川赤十字病院脳神経外科部長に就任。脳血管障害、脳動脈瘤などの手術件数はおよそ40年間で2万件を超え、全国屈指の手技と実績を持つ。2012年4月から現職。手術治療と並行し、禎心会病院脳卒中センター内「上山博康脳神経外科塾」の総帥として、若手脳神経外科医の育成に努める。テレビ東京『主治医が見つかる診療所』(レギュラー)、NHK『プロフェッショナル仕事の流儀』ほか、テレビ出演多数。

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

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