「腰痛や肩こりとは 一生つきあうしかない」
私の腰痛は筋金入りでした。高校生のときから整形外科にお世話になり、腰椎(背骨の腰の部分)の牽引をしてもらったり、カイロプラクティックに通って施術を受けたりしていました。
実家にいたころは母から「背中が丸い」と、ネコ背をよく指摘されていました。症状がひどいときは、お年寄りのような歩き方だったそうです。
姿勢の悪さは自覚していましたが、腰痛の原因には、これといって思い当たる節がありませんでした。MRI(磁気共鳴画像診断)をはじめ、さまざまな検査も受けましたが、体の組織にはっきりした異常は見られません。特に病名もつかず、慢性腰痛と診断されました。
私はスポーツが好きで、テニスやスキー、サーフィンなどによく出かけていました。けれども、年々腰痛がひどくなると、体を激しく動かすことは控えざるをえません。スポーツのみならず、少し遠出をするだけでも、翌日にはもう、痛みが出ます。
また、私は歯科医師ですが、この職業も、腰痛の悪化に拍車をかけました。診察台の患者さんの口の中を診るのに、体をひねってかがむのですが、こうした姿勢が腰に負担をかけます。実際、歯科医師の仲間には腰痛に悩む人が多数います。
とはいえ私の場合は、原因がしぼりきれないので、適した治療法もわからないままです。症状がひどいときはコルセットをして、鎮痛剤を使うなどの対症療法に頼り、痛みが引くまでひたすら待ちます。
しばらくして、症状がよくなってきたら、おそるおそる動きだします。もう何十年も、そのくり返しでした。
また、腰痛と関連があるのかどうか、首や肩のコリも慢性的で、相当ひどい状態でした。
こうして私はいつしか、「腰痛や肩こりとは、一生つきあっていくしかないのだろう」という、あきらめの境地に達したのです。
あれほどの痛みがまさか消えるなんて!
そんな私の状況を劇的に変えてくれたのが、岡本啓司先生考案の、かかとに体重をかけることを重視した歩き方、「プライマリーウォーキング」です。
以前から興味があり、講座を受けたいと思っていました。しかしなかなか機会がなく、参加できたのは、2017年の5月のことです。
講座では、かかとに体重をかけることの大切さや、その理論をはじめ、立ち方や歩き方を教えてもらいました。
私は、その日から早速、「かかと体重」の意識づけを毎日行いました。先生の指導を思い返しては、立つときも歩くときも、かかとに体重をかけるよう心がけました。
すると、始めて1ヵ月も経たないうちに体調の変化を感じました。腰に痛みが出ないのです。仕事をしていても、遠出をしても、不具合やつらさを感じなくなりました。
プライマリーウォーキングを始めて、現在7ヵ月ほどになりますが、その間、一度も腰痛を発症していません。あれほどの痛みが消えたことが、いまだに信じられませんが、うれしいことに、すっかり完治したようです。
首や肩のコリは、なくなってはいませんが、だいぶ軽減し、楽になりました。母からも姿勢がよくなったといわれました。
かかとに体重をかけるようにしただけで、ここまで変わるとは感激です。これまで悩んでいた数十年は、いったいなんだったのかと思うほどです。
スポーツとは距離を置いてきましたが、そろそろ再開できそうです。これからは、思いきり楽しみたいと思います。
積み重なったゆがみが痛みの原因になる(プライマリーウォーキング指導者協会会長 岡本啓司)
姿勢の悪さは軽視されがちですが、体の使い方の癖がゆがみを生み、積み重なると、あちこちに痛みを発症する原因になります。かかとに体重をかけて楽に歩けるようになると、それらの痛みは自然と消失します。
長谷川さんは、東京の認定指導員のもとで受講されました。講座の詳細は、協会ホームページをご覧のうえ、お問い合わせください。
「遠出もOK」と長谷川さん