電柱から次の電柱まで歩くのもままならない
私はテニスやスキー、ジョギングなどのスポーツが好きで、長年続けてきました。
3年ほど前のある日のことです。当時は、週に2~3回ジョギングするのを習慣にしていました。1回に、30分から1時間ほどは走ります。
いつものように走ったあとに、足の痛みを感じました。私はこれを、てっきり筋力不足のせいだと思い込んでしまいました。そこで、「もっと走らなければ」と自分にむち打ち、ますますスポーツに励んだのです。
それにもかかわらず、全力でプレーできない状況が増えてきました。しばらくして、どうも腰の調子がおかしいと気づいたのですが、ときすでに遅し。痛みは悪化するばかりです。
そこで整形外科を受診し、MRI(磁気共鳴画像診断)などの検査を受けたところ、結果は「脊柱管狭窄症」でした。
この症状の特徴の一つに、「間欠跛行」があります。しばらく歩くと、痛みやしびれで歩けなくなるのですが、少し休めば、また短い距離を歩けるようになるというものです。
私の場合も、まさにそれが当てはまりました。道を歩いていても、電柱から次の電柱まで、やっとたどり着けるかどうかといった始末でした。
腰だけでなく、尻や足にも痛みが走り、つらくてしかたがありません。特に、右のふくらはぎの外側は痛みがひどく、しびれもありました。まともに歩けないので、外出時には、つえが手放せなくなりました。
最初の整形外科は、ろくに薬も出してくれませんでした。次のところも同様です。3軒めでようやく、痛み止めを処方してもらえました。それを飲むと、多少痛みが和らいだので、よしとしていました。
ところが、2016年の正月のこと。病院からもらっていた薬を、うっかり切らしてしまったのです。するとまた、激痛が戻ってきました。
このとき、あらためて「薬は対症療法にすぎず、根本的な治療にはなっていない」と気づかされたのです。飲み続けても先がないなら、飲まなくても同じではないかと、悩んだ末に、薬をやめることにしました。
一方で、整形外科の医師からは手術を勧められていました。しかし、私はどうも気乗りがしませんでした。
友人に医師がいるので、手術をどう思うかと意見を聞いてみたところ、彼も、積極的には勧めないとのこと。そこで、根治できるほかの方法はないかと、探し始めたのです。
ゴルフコースを回っても足腰はびくともしない

弓削周平先生の治療院を知ったのは、そんな折、2016年の5月のことでした。新聞に入っていた折り込み広告に目が留まり、興味を引かれたのです。
先生は、中国留学の経験があり中医学士の資格を持つとのこと。「本格的な東洋医学の治療を受けられるのでは」と期待を抱き、訪ねることにしました。
先生には、施術で全身の調整をしてもらいました。そして、セルフケアとして自宅で行うよう勧められたのが、ストレッチと「かかと落とし」でした。
私は、教わったその日から、かかと落としを就寝前に行うことにしました。少し高さのある台の上に乗るといいと教わったので、部屋の敷居を利用しています。段差の上でつま先立ちをしてから、かかとを床に落としトントンとくり返します。
初日と2日めは、50回行いました。もっとできそうだと感じたので、3日めからは、1日100回に増やしました。
こうしてかかと落としを毎日行いながら、定期的に弓削先生のもとに通っていたところ、私の症状は、みるみるよくなっていきました。痛みが引き、最もひどかった右足のふくらはぎの痛みやしびれも取れました。
症状が治まってからは、さらに回数をこなせるようになったので、1日に300回、かかと落としを行いました。2ヵ月ほどが経った夏ごろに、先生から「もう大丈夫」と太鼓判を押されたので、かかと落としは、そこで終了となりました。
今では、痛みもしびれも全くなくなりました。疲れがたまったときに若干痛むかどうか、といった程度です。もちろん、間欠跛行で困ることもなく、つえも使わず、普通に歩けます。
先日はなんと、ゴルフを楽しんできました。広いゴルフコースを1日かけて歩いても、足も腰も、痛みが出ることはなく、びくともしません。ここまで回復できたのだと、喜びをしみじみと噛みしめました。
あのまま西洋医学に頼って薬を飲み続けたり、気の進まないまま手術を受けたりしても、ここまでよくなることはなかったでしょう。思い切って弓削先生の治療院を訪ねて、ほんとうによかったと思っています。

敷居を利用してトントン!
熱心に行ったことが早期回復につながった(木もれび鍼灸院院長 弓削周平)
辻さんは病院では脊柱管狭窄症という診断でした。足首の過回内が見られたので、初回から、かかと落としをお教えしました。スポーツをされるので可能だろうと見込んだところ、期待以上に熱心に行ってくださり、早期回復につながりました。
かかと落としは、1日に80~100回以上行うと、症状改善に効果が表れやすいでしょう。ただ、難しい人は、少ない回数から慣らしてもかまいません。無理は禁物です。