解説者のプロフィール

市橋研一
市橋クリニック院長。日本整形外科専門医、日本整形外科学会認定スポーツ医。医学博士。関西医科大学卒業後、神戸大学整形外科学教室入局。公文病院整形外科、適寿リハビリテーション病院診療部長、市橋クリニック副院長を経て、2000年より同院長。2015年、韓国八体質医学食事療法を開始。食事療法をベースに、ひざ軟骨再生療法など、独自の治療法で成果を上げている。
●市橋クリニック
兵庫県神戸市東灘区深江北町5丁目7-15
TEL 078-411-0619
http://daichikai.or.jp/ichihashi/index.html
【ムック】『オクラ水で病気が治る! 痛みが消える!』が好評発売中!
64名のオクラ水摂取群の血圧と動脈硬化が改善!
私は、整形外科では珍しいことかもしれませんが、食事指導を治療の主軸に据えています。 なかでも治療の切り札となっているのが、「オクラ水」です。主訴が腰やひざなどの痛みであっても、当院ではほぼすべての患者さんに、オクラ水を勧めています。
これによって、痛みの改善のみならず、血圧や血糖値、血中コレステロール値が下がったほか、手足の痙攣、めまい、頭痛、アトピーまで改善する人が現れているのです。
『壮快』では、血圧・血糖値が正常化した人、冠動脈(心臓に血液を送る動脈)の詰まりが取れた人、壊死したひざ軟骨が再生した人、下肢静脈瘤が改善した人などの症例とともに、オクラ水を紹介しました。
その結果、記事を見て来院するかたがいたり、東北や九州から問い合わせの電話があったりと、おかげさまで多くの反響をいただきました。
そこで今回も、より多くの人に知っていただくため、オクラ水の魅力とその効果を、新情報とともにお伝えしましょう。
私が食事指導を行うようになったのは、5年前に中国のある食養生(食事で健康を維持する考え方)の先生と出会ったことがきっかけです。この先生の教えにより食事の大切さを痛感した私は、食事をはじめとした生活習慣の影響による血流の悪化が、関節の痛みなどの原因ではないか、と考えるようになりました。
実際、患者さんの血流を調べてみると、腰やひざの痛みを訴える人のほとんどが、毛細血管の血流が悪くなっていたり、動脈硬化を起こしていたりするのです。
そこで、私は食事療法を軸に、鍼治療などを組み合わせ、血流改善に主眼を置いた治療を開始しました。その結果、患者さんの症状改善に、多くの成果が得られるようになったのです。ちなみに、オクラ水を教えてくださったのも、前述した中国の食養生の先生です。
2018年の3月には、徳島で開催された「第25回日本健康体力栄養学会」で、オクラ水の効果に関する調査報告も行いました。今回は、その内容を紹介しましょう。
調査対象は、2017年の1年間に、当院で血圧や動脈硬化の検査を2回以上受けた、43~88歳までの男女322名です。そのなかから、問診で「オクラ水をほぼ毎日摂取している」と答えた64名をオクラ水群とし、それ以外の258名を非オクラ水群としました。そして、それぞれの群で、年間の最初と最後の検査数値を比較したのです。
その結果、非オクラ水群は血圧に変化がなかったのに対し、オクラ水群は、血圧が下がっていました。
また、動脈硬化の度合いを測るPWV検査でも、非オクラ水群は変化がなかったのに対し、オクラ水群では血管がやわらかくなっていることが示されました(下図参照)。
今回の調査は、オクラ水の摂取習慣に関しては問診時の回答のみで、服薬状況も調査内容には加えていないので、純粋にオクラ水だけの効果を証明しているとは断言できません。しかし、傾向として、オクラ水の摂取習慣が、血圧や動脈硬化によい影響を及ぼすとわかったのです。

では、オクラ水のいったい何が、血流改善を促すのでしょうか。よくいわれているのは、オクラのネバネバ成分による効果です。しかし、私はそれだけではないと考えています。
というのも、オクラ水は、オクラのヘタの部分だけを切り落として、水に漬けます。この方法だと、オクラを刻んだときほどネバネバにはなりません。それでも、オクラ水を飲むと、きちんと効果が出るのです。
また、前述の食養生の先生からは、「オクラ水の冷凍と加熱は厳禁」と教わりました。ネバネバ成分は水溶性食物繊維なので、冷凍しても加熱しても、さほど影響はありません。ということは、オクラ水には、冷凍や加熱をすると摂取できない、水溶性食物繊維以外の別の成分が含まれている、ということではないかと思うのです。
私が考えるに、オクラのヘタを切って水に漬けることで、なんらかの揮発性成分が水に溶け出すのではないかと推測します。タマネギも、切ったときに出てくる揮発性成分が、血液をサラサラにするといわれています。
推察するに、そのような揮発性成分がオクラにもあり、水に溶け出しているのではないでしょうか。オクラ水を作るときに必ずふたかラップをするのも、揮発性成分の蒸発を防ぐためではないかと思います。このあたりは、いまだに不明な点が多いため、さらなる研究による解明が待たれます。
当然、オクラのネバネバ成分も、体に有用な働きをすることは間違いありません。水溶性食物繊維には整腸作用があるほか、血糖値や血中コレステロール値を抑える作用があります。
ですから、オクラ水に溶け出ているであろう未知の成分に加えて、ネバネバも併せてとると、さらなる効果が期待できます。当院の患者さんは、オクラ水を飲んだあと、漬けておいたオクラを刻んで、ネバネバにして食べている人も多くいます。
副作用の心配は無用!薬よりもお勧め!
オクラのよいところは、とにかく安全性が高い点です。
動脈硬化の治療薬として使われる血液をサラサラにする薬は、やめたときの反動が大きいため、一度飲み始めると、ずっと服用し続けなければなりません。
オクラならそんな心配は無用です。そのため、当院では薬よりもまず、オクラ水を勧めています。これで多くの人がよくなるので、血流改善の薬を使う機会は激減しました。医療費も減らせて、いいことずくめです。
なお、私は韓国の「八体質医学」をベースに食事指導を行っています。これは、八つのタイプに分類された体質によって、食べてよい物、避けるべき物を指導する食事療法です。この八体質医学でも、オクラは全体質の人にお勧めできる食材です。
さらに、オクラは家庭でも比較的簡単に栽培できます。当院でも栽培していますが、初夏から秋口まで、毎日のように収穫できます。自分で栽培すれば、農薬や費用の面でも安心です。ちょうど今が植えつけの時期なので、試してみてはいかがでしょうか。
2010年以降、中国、東南アジア、アフリカ、ギリシャなど、亜熱帯地域を中心に、オクラの研究が活発化していて、発表されている論文数は500以上にのぼっています。それだけ、オクラの効能が注目されているということでしょう。
動脈硬化の特効薬ともいえるオクラ水を、皆さんもぜひお試しください。

どんな体質の人にもお勧め!