キャベツダイエットのやり方
最近になって、医師が自らのダイエット体験を語って患者さんへの指導に役立てる、といった本や雑誌の記事を目にすることがとても多くなり、話題にもなっています。考えてみれば、医師の場合、専門知識を生かして、最も自分に合った方法を選ぶので、一般の人に比べると間違ったダイエットをすることがなく、それだけ成功率も高いのでしょう。
実際、私も自分で選んだダイエット法で、15kgのダイエットに成功しました。それが、キャベツなどの生野菜を、1日3回の食前や、おなかがすいた食間に食べるキャベツダイエットです。
私は、最初に雑誌の『壮快』の特集記事でキャベツダイエットを知りました。キャベツという食物繊維が豊富な野菜をよくかむことによって、脳が感じる満腹感を利用し、食事の量をコントロールするという方法に共感しました。
私の場合、キャベツダイエットを毎日行うのではなく、自分の仕事のスケジュールや体調に合わせて、1週間に1日か2日だけ実行しています。
また、野菜はキャベツが主ですが、ときには、キュウリやレタスなどの生野菜で代用することもあります。また、キャベツのほか、食物繊維が豊富な海藻を加えることもあります。私の場合、乾燥した海藻を水で戻した物を使うので、手軽に利用できます。
キャベツは、洗ってざく切りにした物を、できるだけしっかりかむようにしています。1回につき、どんぶりに山盛り1杯くらいは食べています。また、そのときどきで趣向を変え、脂肪分の少ないマヨネーズを少量かけたり、ケチャプやノンオイルドレッシングなどをかけたりして食べます。
こうして食前にキャベツを食べると、朝食、昼食、夕食の量が自然に抑えられるのです。
週に1日か2日行ったあとで、また1週間後か、あるいは2週間後に同じことを行いました。こうしてキャベツダイエットをくり返すうち、確実に私の食事の量や飲酒の量が減っていったのです。
ダイエットを開始して、4〜5kgやせ始めると、体が軽くなって自然によく動くようになります。すると、ウォーキングや体操なども、実にスムーズにできるようになり、筋肉がしだいについてきます。その結果、血流がよくなって体温が上がり、代謝もよくなって、ダイエットにつながる体内の環境が、どんどん整っていくのです。
血圧も下がり、鼠径ヘルニアも手術不要に
しかも、1週間に1日か2日程度なら飽きることもないので、長期間にわたって続けられます。ちなみに、私は約2年間で15kg減量でき、92kgだった体重は現在では、77kgになりました。
下腹部の余分な脂肪がスッキリ落ちて、115cmあった腹囲は93cmと22cmも減少したのです。太かった首は細くなって、まん丸だった顔は、ほっそりしました。
キャベツダイエットの優れた点は、こんなにやせても、皮膚がたるむことはない点です。通常のダイエットにありがちな、減量後に肌のハリが失われてシワができるといった悪影響はいっさい出ていないことも、特筆すべきでしょう。
ところで、私の場合は、2年間かけてゆっくりと減量したため、いつも顔を合わせている家族や病院のスタッフなどは、私が15kgもやせたようには感じていないようです。
一方、久しぶりに会う人たちからはずいぶんと驚かれ、なかには「先生、病気したんじゃないんですか?」と心配してくれる人もいたほどでした。
実は、病気という点では、キャベツダイエットでやせ始めてからというもの、私の持病や体調不良は次々とよくなっているのです。
まず、不眠症が解消しました。それまでは、夜中に目が覚めると、その後になかなか寝つけなかったのですが、今では、夜中に目が覚めることも少なくなりました。また、目が覚めても、すぐに寝つけるようになったのです。
さらに、疲れたときなど、ときおり出ていた不整脈がなくなりました。この不整脈は、20年以上も前からあった症状なので、喜びもひとしおです。
また、キャベツダイエットを始める1年半前から、私は腸が腹腔外に飛び出る鼠径ヘルニア(脱腸。腸の一部が皮膚の下に現れる病気)でした。それが、このダイエットで10kgやせたころから、腸が飛び出さなくなりました。手術を考えたこともありましたが、今のところ、その必要はないと考えています。
さらに、15kg減量してからは、血圧が下がって安定しています。以前は、最大血圧が150〜160mmHg、最小血圧が95〜100mmHgの高血圧でした(基準値は、最大血圧が140mmHg未満、最小血圧が90mmHg未満)。降圧剤は服用していませんでしたが、やはり気になっていたのです。
その血圧も、現在は最大血圧が135mmHg、最小血圧が85mmHgと正常値まで下がって、安定するようになりました。
こうした自分の体験から、ダイエットで体重をコントロールすることが、自身の健康に直結するのだと、あらためて深く思うようになりました。
もちろん、そのためには、キャベツダイエットのような正しい減量法を選択し、心身に負担をかけないように、ゆっくりと減量することが大切でしょう。
私は今でも、キャベツダイエットをときどき実行しています。ダイエットというよりは、定期的な体のメンテナンスのような感覚で行っています。
顔もほっそりした蘆原先生